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残る言葉、沁みるセリフ2019




「知っておいてほしいことがある。君は私を独占できない。みんなと分かち合わなくちゃならないんだ」
「みんなって?」
「私の生徒たちだ」

 東ドイツのとある高校教師が、妻となる女性に贈ったプロポーズの言葉。こういう先生に導かれた生徒たちは、幸せだったんじゃなかろうか。因みにその生徒たちが1956年の冬、自由を求めて西ドイツに亡命した時も、この先生は次のような言葉で応援している。《 私が若かったら同じことをしただろう。一致団結し、熱狂して何かをするのは、若者の特権だ 》。




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『新小岩パラダイス』又井健太

《 二杯目以降は発泡酒。酔ったら酒は皆一緒 》

 貧乏人ばかりが肩寄せ合って暮らす、新小岩のシェアハウス。そこの住人規約の一つが上記。「発泡酒しか飲めないよ(泣)」と〝 持っていないこと 〟を嘆くのではなく、持っているもので如何に幸せを掴むかを考える、〈 前向きな諦め 〉とでも言うべき陽気さがいい。因みにこの規約、最期の一つは《 来る者拒まず、去る者追わず。ここは地球の停留所 》。身近な幸せを大切にしたくなる本です。




《 ひとは、ふっと弱くなるときも、悪くなるときもあると思うんだ。だれにでもあると思うんだ。 》

 だからと言って何でもかんでも大目に見ろと、主人公は言っている訳ではない。世の中には取り返しのつかない間違いや失敗もある。だけれども〝 取り返し 〟がつくならば、そして本人が悪かったと思っているならば、ミスを見逃さずに糾弾する人よりも、大らかに許してやる人の方が、人間としての器は大きいんじゃないだろうか。自分だっていつ何どき、へまして迷惑をかけないとも限らないんだし。




《 たとえ4打席ノーヒットでも、
5打席目が回ってきて欲しいと思える気持ちかな。 》


 スポーツジャーナリストの石田雄太が、《 自分に与えられた最大の才能は何だと思うか 》と問うた際の、イチローの答えが上記。「今日はダメな日だ。明日がんばればいいや」と自分で勝手にゲームセットを宣言してチャレンジをやめてしまう、なんてことがよくある僕は、初読の時に、頬桁をひっぱたかれたような衝撃を受けました。




《 事業がうまくいっているときは、誰が責任者かなどと言う必要はなく、「皆のおかげで……」と言っておればよい。しかし、事をはじめるときには失敗の可能性も考えねばならない。そして、もしも失敗したときは自分が責任を負う、とはっきりと決意して動いている人物がいるので、その集団はうまく動くことができるのである。 》

 著者はそれを〈 負け戦の責任 〉と呼ぶ。そして《 「攻め込む時の責任」ではなく「負け戦の責任」をとれる人が、それぞれの部署にいなかったら、会社は潰れてしまう 》のだそうだ。これは何も会社に限ったことでもあるまい。失敗したら俺が責任をとる。そう言い切ってくれるリーダーの下でなら、みんな、安心して行動できるのだ。



《 人生には時々、流されないと生きて行かれない瞬間が来る。そういう時は流されてもいい。だけど流れが穏やかになって自力で泳げるようになったら、泳ぐことだ。(略)そうじゃないといつまでも流されて、どんどん自分が本来着きたかった場所から遠ざかる 》

 そしてこう続く。《 自力で泳いでいる間に目的地を自分の意思で変更するのは構わないんだ。だが流されているだけなのに、安易に手近の岸にあがろうとしちゃダメだ 》と。さて、僕は今、流されているんだろうか。それとも、自力で泳げているんだろうか。


by dokusho-biyori | 2019-01-05 12:36 | 残る言葉沁みるセリフ2019 | Comments(0)