読書日和

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「読書日和」備忘録

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悲しいお知らせ

2016年現在、今世紀で最も面白い(沢田比)漫画
施川ユウキ『バーナード嬢曰く。』(一迅社)
その、待ちに待った第3巻が発売されたから喜び勇んで買って、
じっくり読みたいから帰りの電車では読むの我慢して、
家に帰って「やっと読めるぜ」とページを開いたら、
案の定、超面白くてアッと言う間に読了してしまって、
例えば1日1話ぐらいに抑えてゆっくり長く愉しめば良かったよと、
激しく後悔している、秋の夜長。
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by dokusho-biyori | 2016-10-27 21:23 | サワダのひとりごと | Comments(0)

本屋日和 2016

第38話
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第39話
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第40話
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第41話
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第42話
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第43話
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第44話
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第45話
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第46話
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第47話
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第48話
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第49話
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by dokusho-biyori | 2016-10-26 08:33 | 本屋日和2016 | Comments(0)

フェアってやつは

フェアってやつは、
準備している間はワクワクと楽しくて、
完成した時には自分を誉めてやりたくて、
店頭展開する頃には、担当者自身は既に飽きている。
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by dokusho-biyori | 2016-10-23 22:19 | サワダのひとりごと | Comments(0)
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《 「ネタバレ」と称して、小説のストーリーや結末を伏せる傾向は、近年、特に強まってきた。
 しかし、あえていいたい。それがなんぼのもんじゃい、と。
 お尻がわかったぐらいで興味が半減する本など、最初からたいした価値はないのである 》


 とは僕の言葉ではなく、文芸評論家の斎藤美奈子氏。『名作うしろ読み』のあとがき的な「名作のエンディングについて」という文章からの抜粋である。いやあ、さすがだな! と思う。

 私事になるけれど、僕が生れて初めて涙を流した本は、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』で、確か二十歳の時だった。無論、坂本龍馬が維新前夜に暗殺されることは読む前から知っている訳で、最後の数十ページは「あぁ、そろそろ殺されちゃうんだな」と思いながら読んでいたのだけれど、それでも竜馬が凶刃に倒れて物語の幕が下りた時、自分でもびっくりするぐらい泣けた。本で泣くという初体験も意外だったけど、それ以上に、結末が分かっているにも関わらず涙が出るほど感動したということに驚いた。試しにそのラスト数行を引用してみる ( 尚、『竜馬がゆく』については前記『名作うしろ読み』で深く鋭く解説されているので、興味のある方は是非そちらを読まれたい ) 。

《 天が、この国の歴史の混乱を収拾するためにこの若者を地上にくだし、その使命がおわったとき惜しげもなく天へ召しかえした。この夜、京の天は雨気が満ち、星がない。しかし、時代は旋回している。若者はその歴史の扉をその手で押し、そして未来へ押し開けた 》

どうです? 未読の人、読んでみたくなりません?

 例えば、フーダニットで犯人を明かしてしまうようなのはさすがに反則だけれど、そういったルールの範囲内で「ラストを知ることで、より興味が増す」というケースは、決して少なくないと思う。

 そんな訳で、斎藤美奈子氏と『名作うしろ読み』及び続編『名作うしろ読みプレミアム』に敬意を表しつつ、不肖・沢田が身の程知らずにも真似してみたのが今回のフェアです。レイアウトは、作品の書影の横に四角で囲んだ文章が、版元のHPから借用した紹介文。その下、見開きのノートの右ページには、その作品のラストシーン、左ページには沢田の勝手な思い込みを記しました。一つでも二つでも、「読んでみたい」と思う本を見つけて貰えたら幸いです。


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『名作うしろ読み』斎藤美奈子 中公文庫
『名作うしろ読みプレミアム』斎藤美奈子 中央公論新社


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『百万ドルをとり返せ!』ジェフリー・アーチャー/永井淳 訳 新潮文庫


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『羅生門・鼻』より「鼻」 芥川龍之介 新潮文庫


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『セント・メリーのリボン』稲見一良 光文社文庫

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『八十日間世界一周』ジュール・ヴェルヌ/田辺貞之助 訳 創元推理文庫


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『透明人間は204号室の夢を見る』奥田亜希子 集英社


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『喜知次』乙川優三郎 徳間文庫


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『遠い海から来たCOO』景山民夫 角川文庫
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『ターン』北村薫 新潮文庫


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『晴天の迷いクジラ』窪美澄 新潮文庫


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『リプレイ』ケン・グリムウッド/杉山高之 訳 新潮文庫


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『膠着』今野敏 中公文庫


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『天国の扉』沢木冬吾 角川文庫


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『新橋烏森口青春篇』椎名誠 小学館文庫


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『エイジ』重松清 新潮文庫


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『燃えよ剣』上 司馬遼太郎 新潮文庫

『燃えよ剣』下 司馬遼太郎 新潮文庫


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『革命前夜』須賀しのぶ 文藝春秋


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『チャイルド44』上 トム・ロブ・スミス/田口俊樹 訳 新潮文庫

『チャイルド44』下 トム・ロブ・スミス/田口俊樹 訳 新潮文庫


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『ミッドナイトイーグル』高嶋哲夫 文春文庫


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『ジェノサイド』上 高野和明 角川文庫

『ジェノサイド』下 高野和明 角川文庫


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後編に続く⇒

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by dokusho-biyori | 2016-10-23 19:33 | 過去のフェア | Comments(0)
⇒前編から続く


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『青空のルーレット』辻内智貴 光文社文庫


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『今夜、すべてのバーで』中島らも 講談社文庫


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『暗号のポラリス』中山智幸 NHK出版


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『初秋』ロバート・B・パーカー/菊池光 訳 ハヤカワ・ミステリ文庫


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『平成トム・ソーヤー』原田宗典 集英社文庫


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『そして夜は甦る』原尞 ハヤカワ文庫JA


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『かかし長屋』半村良 集英社文庫


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『てのひらの闇』藤原伊織 文春文庫


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『老人と海』アーネスト・ヘミングウェイ/福田恒存  訳 新潮文庫


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『星を継ぐもの』ジェームズ・P・ホーガン/池央耿 訳 創元推理文庫


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『君を憶えてる』牧村一人 中央公論新社


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『ジョッキー』松樹剛史 集英社文庫


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『わたしたちの、小さな家』水沢秋生 光文社


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『優駿』上 宮本輝 新潮文庫

『優駿』下 宮本輝 新潮文庫


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『誓約』薬丸岳 幻冬舎


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『ひなた弁当』山本甲士 中公文庫


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『ひろいもの』山本甲士 小学館文庫


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『幸福ロケット』山本幸久 ポプラ文庫


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『凸凹デイズ』山本幸久 文春文庫


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by dokusho-biyori | 2016-10-23 19:30 | 過去のフェア | Comments(0)
さて。
相場英雄さんと言えば『震える牛』ですね。金目当ての強盗殺人と見せかけて、実は……という、大ヒットしたミステリーです。その相場さんが、今度は映画作りの裏側を、これまたリアリティたっぷりに描きました。その名も『クランクイン』。双葉社から、11月下旬に発売予定です。


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by dokusho-biyori | 2016-10-23 17:55 | 試し読み | Comments(0)

己の術中

今、次のフェアの小冊子作っていて、掲載するのは41作品なんだけど、どれも最低でも2回は通読している作品で、中には6回も7回も読んでるのもあったりするんだけど、小冊子作りながら懐かしくて気に入ったヶ所をちょっとだけパラパラめくったりしてると、自分が再読したくなって、我慢出来ずに読み返すと、何度も読んでる作品なだけに、数ページ読み返しただけで色んな名場面や名文名セリフが甦って来て、お客さんに薦めるとか紹介するとか言う以前に、自分が泣きそうになったりして、仕事が進まん。
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by dokusho-biyori | 2016-10-18 21:11 | サワダのひとりごと | Comments(0)

タング、4刷!

6月の発売以来、ずーっと推してる
デボラ・インストール『ロボット・イン・ザ・ガーデン』(松原葉子訳/小学館文庫)
ですが、なんとこの度、4刷が決まったそうです!

海外の作品で、しかもデビュー作だから著者の知名度も無く、
映像化された訳でもなく、ブランチ等の目立つパブリシティも無く、
大手の新聞で書評された訳でもないのに、
初版⇒重版⇒3刷⇒4刷!


(゜∇゜ノノ”☆(゜∇゜ノノ”☆(゜∇゜ノノ”☆パチパチパチ!!!

まだ読んでない方は、これを機に是非!
訳文がめちゃくちゃこなれてるから、
翻訳もの苦手な人でも読みやすいと思います。

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by dokusho-biyori | 2016-10-13 10:28 | サワダのひとりごと | Comments(0)
因みに、国際的な会議の場で初めて人種差別撤廃を提案した国は、日本だそうです。1919年、第一次世界大戦後のパリ講和会議に於ける国際連盟委員会でのこと。

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『アンネの日記』アンネ・フランク/深町真理子 訳

『アンネ、わたしたちは老人になるまで生き延びられた。』テオ・コステル/桜田直美 訳


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『13歳のホロコースト』 エヴァ・スローニム/那波かおり 訳

『14歳のアウシュヴィッツ』アナ・ノヴァク/山本浩司 訳


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『21世紀の子供たちに、アウシュヴィッツをいかに教えるか』ジャン=フランソワ・フォルジュ/ 高橋武智 訳

『狩りの時代』津島佑子


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『神の棘』1 須賀しのぶ

『神の棘』2 須賀しのぶ


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『希望のヴァイオリン』ジェイムズ・A・グライムズ/宇丹貴代実 訳

『強制収容所グーゼンの日記』アルド・カルピ/川本英明 訳


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『暗闇の中で』ゲッツ・アリ/鷲巣由美子 訳

『ジャック・デロシュの日記』ジャン・モラ/横川晶子 訳



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『ショアー』クロード・ランズマン/高橋武智 訳

『砂時計』ダニロ・キシュ/奥彩子 訳



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『生命の火花』エーリヒ・マリア・レマルク/小倉正宏 訳

『そこに僕らは居合わせた』グードルン・パウゼヴァング/高田ゆみ子 訳


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『ゾフィー21歳』ヘルマン・フィンケ/若林ひとみ 訳

『ダッハウ強制収容所自由通り』エドモン・ミシュレ/宇京頼三 訳


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『ハンナのかばん』カレン・レビン/石岡史子 訳

『プリーモ・レーヴィへの旅』徐京植


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『ヒトラーの防具』上 帚木蓬生

『ヒトラーの防具』下 帚木蓬生


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『ホロコーストを逃れて』ジェニー・ウィテリック/池田年穂 訳

『ホロコースト』芝健介



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『ユダヤ人大虐殺の証人ヤン・カルスキ』ヤニック・エネル/飛幡祐規 訳

『四つの小さなパン切れ』マグダ・オランデール・ラフォン/高橋啓 訳


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『夜と霧』ヴィクトル・エミール・フランクル/霜山徳爾 訳

『夜と霧 新版』ヴィクトル・エミール・フランクル/池田香代子 訳



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『夜』エリ・ヴィーゼル/村上光彦  訳

『私はホロコーストを見た 上』ヤン・カルスキ/吉田恒雄 訳


『私はホロコーストを見た 下』ヤン・カルスキ/吉田恒雄 訳


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『ヘイトスピーチ』エリック・ブライシュ/明戸隆浩 池田和弘 河村賢 小宮友根 鶴見太郎 山本武秀 訳

『ヘイトスピーチ』安田浩一


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『レイシズムと外国人嫌悪』小林真生  駒井洋


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by dokusho-biyori | 2016-10-05 06:03 | 過去のフェア | Comments(0)

16年10月 前編

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 きっかけは単純な悩みからだった。「電車の中で読む文庫本がない」単行本で積んである本はいくらでもある。しかし、通勤電車の中で読みたい文庫が思いつかない。それならいっそのこと何かのリストに従って読む本を決めよう。と軽い気持ちで選んだのが2012年に刊行された「東西ミステリーベスト100」の国内ランキング。所謂名作ミステリーをそこまで読んでいないこともあり、これをいい機会にしようと思ったのだ。

 しかし、実際始めてみると意外に大変。上下巻ならまだしも5巻まである本もあったりして軽く殺意を覚える。でもまあ、始めてしまったのだからしょうがないと諦め半分今回、その第一回分を読み終えたのでそのレビューをしようと思う。

 基本的には月に10冊ずつ下の順位から紹介して来年の7月号で最終回を迎える予定だ。なぜか102位から始まっているのでどこか10冊以上紹介するつきが必要になる。今回は『永遠の仔』が重かったので10冊のご紹介。では早速どうぞ~。

102位 佐々木譲『エトロフ発緊急電』新潮文庫
 太平洋戦争前夜の日米が舞台の冒険小説。スパイとして日本に送り込まれた日系アメリカ人が日本の軍事機密を探るというスパイ物であり、訓練⇒潜入⇒捜査⇒逃亡といった大筋だ。

 主人公が探ることになる軍事機密は真珠湾攻撃であることが物語の冒頭で分かる構成になっていることがこの小説のすごいところだろう。なぜなら、我々は真珠湾攻撃が成功することを知っており、つまりは主人公の諜報活動は実をむすばないことを始めから知っているのだ。この時点で著者は読者にハンデを負っているともいえる。しかし、匂いたつような風俗描写とスリリングな諜報活動、そして何よりも失敗を運命付けられた主人公にどのような最後が待っているのかという興味が読者を惹き付ける。
 ミステリーと言われると首を傾げてしまうが、お手本のような冒険小説であることは間違いない。


101位 天童荒太『永遠の仔』幻冬舎文庫
 小児精神病院に入院していた過去を持つ三人の男女とその家族・恋人の間で起こる悲劇を描いた作品。三人の主人公が子どもの頃起こったある事件までを描く過去パートと大人になった三人が再会したことによって引きおこされる様々な事件を描く現在パートが交互に描かれる。

 物語序盤は様々な謎(過去の事件とは? 事件の犯人は? 彼らが入院した理由は?……)が隠されて、読者はその謎が引きおこす様々な事象の表面だけを見せられているようなもの。謎が明かされていくにつれて登場人物の過去や行動原理が分かってくるので、読むほどに彼らの内面に潜っていくような感覚だ。
 謎が謎を呼ぶ展開ではあるが、やはりこの作品もミステリーというより人間ドラマの色が濃い。

100位 鮎川哲也『黒い白鳥』光文社文庫
 アリバイ崩しものの本格ミステリー。とても渋い。

 本作は三つのパートに分けられる。①捜査本部による(とりあえずの)捜査 ②探偵役の刑事による捜査&容疑者絞込み ③アリバイ崩し、の三つだ。①で通り一遍の仮設は否定され、②では事件が意外な展開をみせると同時に犯人のめぼしが付く。しかし、その容疑者には鉄壁のアリバイがあるため③でそのトリックを崩す、という構成だ。

 正直、事件は地味でトリックも派手さはない。ただ、その分論理の展開にハッとさせられたり、事件の細かいところまで真相に絡んでくる著者の計算高さに舌を巻いたりと謎解きの醍醐味を味わうことができる。
 ちょっと上手く事が運びすぎでは? という気もするが、良くも悪くもウェルメイドな作品である。

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99位 宮部みゆき『龍は眠る』新潮文庫
 超能力者の悲哀を描くSFミステリー。嵐の日に雑誌記者が出会った自称・超能力者の少年、彼は偶然遭遇した事件の一部始終をまるで見ていたかのように話し出す。驚くとともに少年を信じきれない主人公。肯定と否定の要素が次々と出てくる上に、主人公の周りで不審事が起きたりするものだから、息をつく暇もない。

 個人的には、少年がなぜ事件の詳細を知っているのか、という疑問に対して示されるマジックの種明かしのような否定理論がハイライト。まるでシャーロック・ホームズの推理のようだった。

98位 岡嶋二人『99%の誘拐』講談社文庫
 ほぼコンピューターに制御された誘拐事件の顛末を描くサスペンス。初版が1990年なので、今読むと「ここまでAIに要求するのは無理だろう」とか「すべてのIT機器が古臭い……」という感想は否めない。ここは割り切って「プログラミングされた誘拐事件」という奇想を楽しむべきだろう。

 犯人側の視点も描かれるので一種の倒叙ミステリーとして、計画が破綻しないかドキドキしながら読んでしまう。

97位 逢坂剛『百舌の叫ぶ夜』集英社文庫
 東京で発生した爆破テロとその裏に潜む陰謀を描いた警察小説。テロで妻を失い単独捜査に踏み切る公安刑事、事件を捜査する警察組織、そしてある組織に命を狙われる記憶喪失の男、複数の視点が交錯しながら物語は進む。テロは何故起こったのか、犯人は誰なのか、なぜ男は命を狙われるのか……、手に汗握る展開とはまさにこのことでドライな文体とあいまって非常に「カッコイイ」小説に仕上がっている。最後にミステリー的なサプライズもあり、サスペンスと謎解きを上手く両立させている。

96位 都筑道夫『なめくじに聞いてみろ』扶桑社文庫
 亡き父親がナチに協力して育て上げた12人の殺し屋を息子が一人ひとり倒していく異能力バトルもの。12人の殺し屋はナイフや銃といったありふれた凶器は使わず、カードや傘などありふれた道具で主人公に襲い掛かる。奇想あふれる殺し方に奇想あふれる反撃を考える主人公、奇想と奇想のぶつかり合いが最大の読みどころ。ユーモアあふれる文章で深刻にならず軽く読み流せるのも良い。最後のちょっとしたサプライズもあり。

95位 有栖川有栖『孤島パズル』創元推理文庫
 外部との連絡が途絶えた孤島で起きる連続殺人をミステリー研究会の大学生が解決する本格ミステリー。ある資産家一族+主人公たち大学生がのんびり夏の休暇を楽しむ前半から打って変わって事件が起きてからは悲壮な雰囲気が漂う。あっと驚くどんでん返しで魅せる作品ではないが、ちょっとした手がかりから犯人が分かってしまう解決は見事のひとこと。論理を組み立てていく過程は知的興奮に満ちている。タイトルにもある資産家の遺産のありかを示すパズルも面白い。一粒で二度おいしい作品だ。

94位 高野和明『ジェノサイド』角川文庫
 人類を滅亡の危機に晒す「何か」を排除するためイラクに送り込まれた傭兵部隊、亡き父親の製薬プロジェクトを引き継いだとたん追われる身となった日本の薬学生、彼らが巻き込まれる壮大な陰謀を描く。戦争映画のような傭兵パート、追われながらも新薬を作る学生パートどちらも緊迫感に満ちて単体でも面白い。その上二つのパートは当然交わり始めるので物語が世界規模になる。大きなうねりの中でも己の矜持を捨てない登場人物の姿に胸を打たれる。

93位 貫井徳郎『慟哭』創元推理文庫
 幼女連続誘拐殺人事件を追う警察と新興宗教に救いを求めて道を踏み外していく男の二つの視点が交互に描かれる。最後に大きなどんでん返しがあるが、それに気づいてしまう人もいるだろう。むしろ本書は捜査が遅々として進まない警察の絶望感と、堕ちゆく男の描写がひりひりとした肌感覚をもたらすリアルな描写が優れた点といえる。特に警察パートの佐伯警視が徹底的に感情を表に出さない鉄面皮に描かれているのがじわじわ効いてくる。


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 私には諦めた夢がある。それは可能性を勝手に見限り自分から捨てた、夢。自分なんかが立てるわけがない、まして企画なんて作れるわけがない、そうやって自分を否定的に追い込んで捨てた私の夢は「障がいを持っている人でも楽しんでもらえる舞台役者」だった。

 舞台とは。目で見て、耳で聞いて、身体全体で感じてステージに立つ役者とお客を一体化させるものだと思っている。でももし目が見えなかったら。もし耳が聞こえなかったら。役者の動きは雰囲気でしか感じられず台詞しか耳に入らない、逆に動きは見て取れるけれども声は届かない。分かりやすく言うと海外映画を吹き替えなし字幕なしで英語が苦手な人が見ているのと同じようなものだ。そんな人たちに少しでも感動を与えたいと思っていた時期がありました。そうあったんです。駄目だったけど。

 その原点になったのは障がいを持ちながらも役者を続けていくと決めた俳優・柳浩太郎の存在が大きい。彼が書いた『障害役者~走れなくても、セリフを忘れても~』は当時高校生だった私を一歩前に進めてくれた本である。あまり芸能人が書いたエッセイなど読まないのだが彼だけは特別だった。

 初めて舞台というものを知ったときにステージに立っていたのは柳浩太郎である。特別上手かったわけでも目を引くわけでもない。ただ主役だから何となく覚えていた、そんな程度だった。失礼ながらも。けれども数をこなしていくうちにいつしか目で追うようになったのは格段に一つずつ成長をしているからだった。

 柳は別に先天性の障がいを持っていたわけではない。舞台稽古の帰りに交通事故に遭い瀕死の状態から回復したとき、後遺症として残ってしまった。意識障がいや高次脳機能障がいといった、役者に戻るのはほぼ不可能なもの。台詞が覚えられないのなら、動くことが困難なのならば、それは舞台の上ではただの置物と変わらない。

 それでも彼は待っている人のためにリハビリを繰り返した。待っている人、それはファンであったりスタッフであったり何よりもずっと一緒に舞台を作ってきたキャストの人たちのために。一時は死のうとしたと作中で胸中を明らかにしているのを見て、当時は愕然としたが今ならばわかる。私だって死にたくなる。自分の大好きな舞台で台詞を言うこともできず、また自由に動くこともできず、心と体のバランスが取れない状態なんて。冗談じゃなく目の前が真っ暗になる。つまりは自分の好きなものをいとも呆気なく取り上げられた状態の幼子と変わらないのだ。

 柳は役者として復帰してもやはり後遺症が残っている為、台詞は舌っ足らずだったしほとんど動くことはできなかった。だけどそれを痛ましく思ったことはなかった。かわいそうなんて同情もなかった。ただ只管にすごいとしか言えなかった。何が彼をそこまで奮い立たせたのか。それは前述したとおり「待ってる人たちのため」という思いだ。だがそれ以上に自分が「そういった状態である」ということを受け入れたから。

 別に好きにならなくてもいいから、自分のことをわかって、自分の状態を受け入れれば十分だと思うんです。

 柳は人にどうしたらそんなに前向きになれるんですかと聞かれたときにこう答えるらしい。自分を好きになることは手っ取り早いけどそれが出来ないから人は悩んでていて、それは時に後ろ向きにもなってしまいそうして自分を遠ざけて行ってしまう。そうではなくてほかでもない自分自身が自分のことをちゃんとわかって、今の自分と向き合って〝受け入れて〟あげればそれでいいんだと。そんな言葉は誰でも口に出せるけれども言葉の比重は断然彼の方が重たい。

 荒んで荒みきって枯れ果てた地にゆっくりと浸透していく水のように、今のわたしには柳浩太郎のその言葉がしみ込んでいる。私は夢を諦めた。捨てたとも言える。そして今自分が大好きな本に触れることができる職に就いている。だけどやっぱり自分は好きになれないし、受け入れることができないところだってある。それでもいいんだと今、この本が発売されてから六年経った今ようやく理解できたのではないかと思う。

 彼は現在無期限の長期休暇を取っている。それは後遺症による体調不良であるとブログに記されているが決して引退するという意思はないようで。今でも、これからもずっと「生涯役者」であるんだと感じられる。

 私も。生涯、とまではいかなくても自分を受け入れられる人になりたいと、今少し新しい夢ができた。


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「こんな奴、できることなら殺してやりたい」
そんなドロリとした感情に心を埋め尽くされた経験が、誰でも一度や二度はあるだろう。でも、実際に殺すことはない。陰湿な意地悪をしたり、逆に極力関わらないようにしたり、或いは気の合う者同士で陰口を叩いたりすることはあっても、それがエスカレートして殺してしまうことは、普通はない。憎しみや嫌悪といった感情の延長線上に殺人という行為がある訳ではなく、大抵の人は「思うこと」と「行うこと」を、無意識ながらに分けている。さもなければ、この世は殺人者だらけになってしまう。

 畑野智美『罪のあとさき』の主人公・渡辺楓も、勿論そう考える一人である。

《 人を殺してはいけないと考えても理由をうまく説明できない。それは、当たり前のことだからだ 》
そう、まさに当たり前のことを言うようだけど、「殺してやりたい」と思うことと、実際に殺すことは、全然別だ。

 ところが、楓は中学二年の時に、殺人を目の当たりにする。信州の山あいにある中学校の通い慣れたいつもの教室で、クラスメイトの卯月くんが、同じくクラスメイトの永森くんの喉を小刀で掻き切った。二人の間に何があったのかは知らない。喧嘩していた様子もない。詳しいことは何も知らされないまま、気付いたら卯月くんの一家も永森くんの一家も、どこかに引っ越していた。

 それから14年。横浜市内に引っ越した楓は、そこで思いがけず卯月くんと再会する。なんと彼は、楓のアパートから徒歩で行き来できる距離にいた。木工家具の職人さんに弟子入りして、地味に静かに暮らしていた。初めは気付かなかったけど、向こうはすぐに分かったようで、「お久しぶりです」みたいな会話を少しだけした。

 以後、楓と卯月くんは、同級生として時々会うようになるのだけれど、14年前の事件を二人が覚えていない訳はなく、とは言え改めて真正面から話し合う勇気もすぐには持てず、あたかも夏休みの宿題を忘れたフリをして先延ばしにする小学生の如く、「事件」には触れないままに、彼らは親密さを増してゆく。

 しかし、本当に忘れてしまうことと「忘れたフリ」は、違う。「忘れたフリ」をするのは、むしろ忘れられないからであり、「事件」は頭の片隅に常に在る。

 例えば、薬丸岳の幾つかの作品――『友罪』『誓約』『Aではない君と』など――を連想する方も多いだろう。本書でも、「罪と償い」そして「赦し」について、読者は自問自答を繰り返すに違いない。自分が加害者になってしまったら? 被害者の遺族だったら? 或いは友人が加害者だったら? 作中のそれぞれの人物に自分を当てはめて、その時自分はどんな行動をとれるのだろうと、チラとも考えないという読者は、恐らくあるまい。

 勿論、楓も悩み抜く。殺したいと思っても殺さないのが普通だろう、と。なのに何故、14年前、卯月くんは永森くんを殺してしまったのだろう? と。今の卯月くんは、やはり殺そうと思ったら殺せる人なんだろうか? と。紳士的で優しいし自己主張めいたことも殆ど言わないけれど、それでもいざとなったら殺せてしまうのだろうか? と。

 そして楓は知る。《 永森くんのご両親が卯月くんを赦すことは絶対になくて、それを分かっていながら、卯月くんは生きていく 》。ならば楓はどうするのか?

 物語が終盤に差し掛かる頃、二人は遂に、避け続けてきた14年間と真正面から向かい合う。《 何を聞いても、わたしは卯月くんのそばにいるから 》と約束する楓に対して、《 そう言って、いなくなった人がいました 》と言いながらも、真摯に過去を語り始める卯月くん。以降の描写こそが多分、畑野智美の真骨頂。

 思うに畑野智美とは、デビュー以来一貫して、人が人を大切に思う気持ちと、大切な人を懸命に大切にしようとする姿をこそ、描き続けてきた作家なのではなかろうか。『国道沿いのファミレス』しかり、『夏のバスプール』しかり、『海の見える街』しかり、『ふたつの星とタイムマシン』しかり、そしてこの度の『罪のあとさき』しかりである。

 楓と卯月くんと、そして二人をとりまく幾人かの人々の、静かな決意と優しさを、どうかじっくりと読まれたい。


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『永遠の仔』天童荒太 幻冬舎文庫

『エトロフ発緊急電』佐々木讓 新潮文庫

『99%の誘拐』岡嶋二人 講談社文庫

『黒い白鳥』鮎川哲也 光文社文庫

『孤島パズル』有栖川有栖 創元推理文庫

『ジェノサイド』高野和明 角川文庫

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『障害役者』柳浩太郎 ワニブックス

『それは甘くないかなあ、森くん。』小野寺史宜 ポプラ社

『罪のあとさき』畑野智美 双葉社

『慟哭』貫井徳郎 創元推理文庫

『東西ミステリーベスト100』文藝春秋編 文春文庫

『なめくじに聞いてみろ』都筑道夫 扶桑社文庫

『百舌の叫ぶ夜』逢坂剛 集英社文庫

『龍は眠る』宮部みゆき 新潮文庫


⇒後編に続く
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by dokusho-biyori | 2016-10-01 10:20 | バックナンバー | Comments(0)

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