読書日和

dokushobi.exblog.jp

「読書日和」備忘録

ブログトップ

<   2016年 01月 ( 6 )   > この月の画像一覧

わーい!!! 『革命前夜』が大藪春彦賞を受賞しました!!!
【作家・大藪春彦氏の業績を記念し、挑戦的な意志を持った新進気鋭の作家および作品に贈られる「大藪春彦賞」】

須賀しのぶさん、おめでとうございます!!!

未読の方はこの機に是非!
時に全てをなげうつようにして戦い続ける若き音楽家たちのひたむきな青春に、
きっときっと、心の底が揺さぶられるような感動を味わえます。読後は暫く呆然です!!
もし読んでつまらなかったら、推薦者の責任として、鼻でスパゲッティを食べてもいいレベル。

いやぁ、久し振りにシュウやヴェンツェルやイェンツや、そして勿論クリスタに会いたくなったなぁ。
新刊のノルマこなしたら、また読もう(←一体何度目なのか覚えていない)。

a0304335_19272834.jpg

[PR]
by dokusho-biyori | 2016-01-28 19:29 | サワダのひとりごと | Comments(0)

江戸川柳

只今『読書日和』の2月号を制作中な訳ですが、そこに載せるつもりで書いたけど結局ボツにした文章があって、時代小説の「長屋もの」を紹介する話の枕で江戸川柳を採り上げたんだけど、枕ばっかり長くなっちゃったので本誌への掲載は見送って、まぁ、何かのひまつぶしになればと、こちらに掲げておきます。

因みに僕の江戸川柳アンチョコ本は小林弘忠さん『江戸川柳で現代を読む』と、神田忙人さん『江戸川柳を楽しむ』の2冊です。どちらも初心者でも読みやすいし解りやすいから、もう何度も読み返してボロボロなんですが、現在は生憎、品切れ再販予定無し。いい本なんだけどなぁ。

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ 

江戸川柳が大好きです。金も地位も名誉も無い、吹けば飛ぶような貧乏人たちが、世間の風当たりを少しでも和らげようと相身互いと肩寄せ合って、小さな幸せを育んでゆく。そんな姿の一つ一つに、ほっこりしたりほのぼのしたり、或いは自分の身に置き換えて励まされたり。幾つか挙げます。

「夕立に 取り込んでやる 隣の子」
 おかみさん連中が他愛無い冗談を言い合いながら夕飯の支度を始めた長屋の井戸端。そこへ不意の夕立。皆が慌てて洗濯物を取り込む中、ふと見ると隣の家の子がまだ遊んでる。「おやおやこんなに濡れちゃって、風邪ひいちまうよ」とか言いながら、洗濯物は後回しにして子どもを家に入れてやる、という図。

「椀と箸 持って来やれと 壁をぶち」
 貧乏人の食卓にはめったに上らないようなご馳走が手に入った。こんな美味いもん、一人で食ったらバチが当たるぜ。そうだ、隣の源さんも呼んでやろう。ということで、そこは壁の薄い裏長屋の便利なところ。ドンドンと叩きながら呼ばわった。「おーい源さん、珍しいもん貰ったんだ。一緒に食おうぜ。余分な食器なんか無いから、茶碗と箸持って来な!」

「ほころびと 子をとりかへる 独り者」
 なんだい辰吉さん、襟元がほころびてるじゃないか。全く独り者はすぐこれだ。縫ってやるから、ちょっとこの子を抱いてておくれ、と隣のカミさん。ついでに「あんたも早くお嫁さんを見つけなよ」などと小言も貰っている様子まで目に浮かぶ。

 明日の保障など何も無い当時の庶民たちにとっては、こういった助け合いこそが頼みの綱であり、故に、そんじょそこらで当り前に見られた風景だったんだろうなと思います。それが証拠にこのテの句は枚挙に暇が無くて、他にも

「壱人(ひとり)鍛治 道を聞かれて 焼き直し」
 道を訊かれた鍛冶屋が丁寧に教えている内に、せっかく焼いた鉄が冷めてしまってやり直している情景とか、

「こう下げて 行けとおしへる 菓子袋」
 お菓子を買いに来た子どもに「中身が落っこちないように、ここを持って行くんだよ」と教えてやるお菓子屋さんとか、

「困った時はお互い様」という思想がごく自然に浸透していて、それこそが保険や年金の代わりであり、同時に、今日を明るく生きるコツでもあったんだろうな、と。勿論その暮らしは今とは比較にならないくらいに貧しく厳しいものだったんだろうけど、心映えみたいなものは、現代よりもずっと豊かだったんじゃないかと思ったりもします。

 明るく生きると言えば、少々のことで苛立ったり落ち込んだりしない心の持ち方も、江戸庶民は僕らより一枚上手。

「小便所 先をこされて 月をほめ」
江戸の長屋は普通はどこも外の共同便所。夜も更けてそろそろ布団に入ろうか。でもその前に、ちょっくら用を足しておこうと出てみたら、生憎、誰かが先に入ってる。僕らだったら舌打ちの一つもしたくなるところだけれど、江戸の人々のこのゆとり! イライラしたってトイレが早く空く訳じゃなし、月でも愛でていた方が絶対に得だよね。

 ゆとりつながりで、こちらの一句も。
「灰吹を 持ってみて居る 雪の朝」
 灰吹ってのは、乱暴に説明すれば今の灰皿。そこに溜まった灰を捨てようと外に出てみたけれど、昨夜からの雪で一面の銀世界。ここに真黒な灰を捨てちまっちゃあ、それは無粋というもんだ。さて、どうしたもんかと思案の図。こんな風に、銭金に勘定出来ない価値観を大切に出来る人ってのは、豊かな人だなぁと思います。見習いたいです。

 そして最後に紹介するのは、僕が座右の銘にもしている名句。
「いい加減 損徳も無し 五十年」
 人生50年生きてきて、振り返ってみれば損したことと得したこととプラスマイナスゼロだったなぁ、ぐらいの意味ですかね。ブルーハーツの『情熱の薔薇』を彷彿させられたりします。
♪ なるべく小さな幸せと~なるべく小さな不幸せ~なるべくいっぱい集めよう~そんな気持ち分か~るでしょ~。
少々の不運は「苦あれば楽あり」と受け流し、かといって大きな欲をかいたりはせず、足ることを知って暮らしていく。そういう人に私はなりたい。
[PR]
by dokusho-biyori | 2016-01-27 14:47 | サワダのひとりごと | Comments(0)
さてお待ちかね? いやはやお待ち兼ね! ランチ! 3時! 幹事! である!! いや、何がって、柚木麻子さんの例のシリーズの話だよ。第1弾が『ランチのアッコちゃん』で、第2弾が『3時のアッコちゃん』で、2月に発売される第3弾が『幹事のアッコちゃん』なんだと、そういう話をしているのである。

今度は、冷静っつーよりも冷淡な、或いは、落ち着いているっつーよりも淡泊な、男性新入社員をアッコ女史が料理ます! 2月中旬の発売までは、この試し読みで我慢してね。

a0304335_2242796.jpg

a0304335_2244580.jpg

a0304335_2251410.jpg

a0304335_2254083.jpg

a0304335_2254847.jpg

a0304335_2255665.jpg

a0304335_226397.jpg

a0304335_2261237.jpg

a0304335_2262034.jpg

a0304335_2264753.jpg

a0304335_2265610.jpg

a0304335_227650.jpg

a0304335_2271599.jpg

a0304335_2275986.jpg

a0304335_228850.jpg

a0304335_2283652.jpg

a0304335_2284818.jpg

a0304335_2285852.jpg

a0304335_2291369.jpg

a0304335_2292286.jpg

[PR]
by dokusho-biyori | 2016-01-19 22:10 | 試し読み | Comments(0)

2度も3度も読んだ本

フェアってほど大袈裟なもんじゃないんですが、2015年に刊行された本の中で、わたくし沢田が、余りにも感動しのめり込んだ末に、2度も3度も読み返した本を集めたでござる。

その本が面白ければ面白いほど、初読の時はストーリーに引きずり回されて、即ち「この先どうなるんだろう?」という興味が強すぎて、細部に宿る著者のこだわりやテクニックを、ついつい読み飛ばしてしまうんだな。
で、2度め3度めに読んだ時に、修辞的な高等技術初めて気付いたりする。

ま、そんな感じで、以下の12作は誇張抜きで、去年、2度も3度も読み返した、超ウルトラスーパーダイナミックグレイト大好きな小説たちでござる。紹介は、タイトル五十音順。小説家の皆さま、翻訳家の皆さま、今年も素敵な本を楽しみにお待ちしてます。
a0304335_2330684.jpg


『暗号のポラリス』中山智幸
『革命前夜』須賀しのぶ
『希望のかたわれ』メヒティルト・ボルマン/赤坂桃子 訳
『君の膵臓をたべたい』住野よる
『コーヒーが冷めないうちに』川口俊和
『誓約』薬丸岳
『透明人間は204号室の夢を見る』奥田亜希子
『波に乗る』はらだみずき
『バーナード嬢曰く。』施川ユウキ
『ひりつく夜の音』小野寺史宜
『ペンギンのバタフライ』中山智幸
『ワンダー』R・J・パラシオ/中井はるの 訳
[PR]
by dokusho-biyori | 2016-01-13 08:54 | サワダのひとりごと | Comments(0)
ででん! ででんでんでんでん!! 皆さんは、『君の膵臓をたべたい』という作品を覚えておいでか? 無論、忘れてはおるまい。膵臓を患った女子高生と、クラスで自らの存在を消しながら生きる男子生徒が、ひょんなことから心を通わせてゆく様子を、てらいもけれんも無く描いたまっすぐな青春小説だ。クライマックスのメールの場面で、祈るような気持ちでページをめくった人はさぞ多かろう。

その、住野よる氏の2作目が、発売に1ヶ月以上も先だって、こんなちっぽけなブログで公開されるなんてことが許されるんだろうか!? いや、版元の許可は貰ってますよ、勿論!

そんな訳で、今、次作が最も待ち望まれている作家の一人と言っていいでしょう、住野よる氏の『また、同じ夢を見ていた』は2月下旬に双葉社から発売予定! Look forward to である!!

a0304335_1818742.jpg

a0304335_18182033.jpg

a0304335_18182886.jpg

a0304335_18183786.jpg

a0304335_18184459.jpg

a0304335_18185050.jpg

a0304335_18185646.jpg

a0304335_1819477.jpg

a0304335_18191116.jpg

a0304335_18191969.jpg

a0304335_18192843.jpg

a0304335_18193559.jpg

a0304335_18194231.jpg

a0304335_1819493.jpg

a0304335_18195681.jpg

a0304335_18202545.jpg

[PR]
by dokusho-biyori | 2016-01-10 18:22 | 試し読み | Comments(0)

悪意のあるエノキ茸

また、またまた、またまたまた、中山智幸『暗号のポラリス』を読んでいる訳で、もう5度目ぐらいかな。同じ本を何度も読むと言うと時々びっくりされるんだけど、音楽とか映画とか、みんな好きなものは何度も味わうでしょ? それと一緒。

で、年末は優先的に読まなきゃいけない新刊が続いたせいで『ポラリス』を通読する時間が確保出来ず、隙間の時間に気に入った場面だけ拾い読みして我慢してたんだけど、漸くまとめて一気に読む時間が作れたという訳。

読む度に発見があるのがこの小説の凄いとこで――だからこそ、何度も何度も読みたくなるし、何度読んでも飽きない訳だが――今回も紹介したい名場面を一つ発見したものの、ちとまとまらないのでもう少し頭の中で熟成させてからにしようと思う。

その代わり、と言ってはなんだけど、一か所、面白い表現をご紹介。ユノ少年が出会った――と言うか見かけた――意地悪そうなコンビニの店員の、その外見の描写。曰く
「背がひょろりと高く丸顔で、悪意のあるエノキ茸といった容姿だった」
悪意のあるエノキ茸(笑)!

こんな風に中山さんの文章は、比喩・暗喩が凝っているのに難解ではなく、思わず膝を打ちたくなるような表現が多いので、これから読む人は、そんなところも楽しんでみてたもれ。試しに、もう一か所だけ引用してみようかな。或る人物が口げんかしてる場面。相手にキツい言葉を浴びせつつも、途中で自信が無くなってゆく、その心情描写。曰く
「威勢よくぶつけはじめた言葉が失速して、最後にはすがるような調子になるのを彼女も自覚した」
解る~でしょ? こういうことあるでしょ? 中山さんの文章には、この「解る~」が沢山出て来るの。だから、リアリティがあるし、登場人物が身近に感じられると言うか、作り話には思えないと言うか。

そんな訳で、中山智幸『暗号のポラリス』は名作だから読まないと損だよ、という話でした。
[PR]
by dokusho-biyori | 2016-01-09 01:06 | サワダのひとりごと | Comments(0)