読書日和

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「読書日和」備忘録

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『居酒屋兆治』も復刊!

小さなモツ焼き屋を舞台に庶民の悲喜こもごもが描かれる
山口瞳さんの『居酒屋兆治』
高倉健さん主演で映画化もされた名作で、
その昔は新潮文庫の百冊にも入ったりしてなかったかな。

それが、気づけばいつの間にやら絶版で、
一人、オイオイとむせび泣いたものですが(←ウソ)、
この度、小学館から復刊されたでござるよ!!

時代背景は古いけど、人間の喜怒哀楽は変わらない。
今読んでも、ってか、殺伐とした現代だからこそ、
グッとくるものがある! と強くお薦めしたい。

それにしても小学館さん、
『哀愁の町に霧が降るのだ』 『新橋烏森口青春篇』
を立て続けに復刊したかと思えば、今度は『居酒屋兆治』だし、
最近、ファインプレーが多いのう。

(゜∇゜ノノ”☆(゜∇゜ノノ”☆(゜∇゜ノノ”☆パチパチパチ!!!
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by dokusho-biyori | 2015-06-15 09:11 | サワダのひとりごと | Comments(0)

『喜知次 』 復刊!

講談社文庫で長らく品切れしたまんまになっていた

乙川優三郎さんの『喜知次 』

徳間文庫で復刊しました!
(゜∇゜ノノ”☆(゜∇゜ノノ”☆(゜∇゜ノノ”☆パチパチパチ!!!



藩内の派閥抗争を背景に描かれるのは、武家の少年たちの友情と
「いつまでも子供のままではいられない」という焦燥感、そして淡い恋。

時代小説ファンの間でも評価が分かれる作品ですが、
僕は大好き。もう、何度読んだろう。
藤沢周平さんの『蝉しぐれ』(文春文庫)と並んで、
最も好きな、時代物の青春小説です。
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by dokusho-biyori | 2015-06-10 08:52 | サワダのひとりごと | Comments(0)

はれどく

言い忘れたましたけど
『はれどく』vol.10 配布始まってます。
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因みに、『はれどく』のブログはこちら。
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by dokusho-biyori | 2015-06-06 08:36 | サワダのひとりごと | Comments(1)

15年06月

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『ひろいもの』山本甲士 小学館文庫 9784094087895 ¥638+税
 人生に躓いた人たちが、「ひろいもの」をすることで始める自己改革。セカンドバッグ、サングラス、警察手帳、ハンドグリップ、腕時計。思いが込められた道具を拾った人々に運命の転機が訪れる。(小学館HPより)

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 山本甲士さんの作品には、何らかの形でいつもいつも僕がいる。男だったり女だったり、年寄りだったり若者だったりと、立場や境遇は作品ごとに異なるけれど、いつも決まって僕が――正確に言えば、僕みたいな奴が、いる。
 事勿れ主義の臆病者、悪いことは全部周りのせいにする言い訳野郎、「どうせまた……」が口癖のペシミスト、何をやるにも渋々の無気力小僧etc……。そんな、どこかにいそうなイタい連中を描くのが、山本さんはとにかく上手い。そして、皆さんも読みながらきっと思う筈。「これ、まるで俺じゃん」とか、「イヤだ、これ私みたいじゃない」と。

 人は誰でも、どこかしらイタい部分を持っている。そして、普段はそこから目を逸らして生活している。だけど、本当は知っている。自分は、実は結構ダメな奴なんだ、ということを。
 そんなダメな人々が、ちょっとしたきっかけで一歩を踏み出す。世間が羨むような大成功ではないけれど、昨日までよりも少しだけ、自分のことが嫌いじゃなくなる。山本甲士さんが描く人物たちのそういう姿に、僕はとても励まされる。

 リストラされた中年サラリーマンが時間を持て余し、散歩の途中で見つけた野草・山菜を料理したことがきっかけで新しい道を見出す『ひなた弁当』(中公文庫)。「奇跡を信じたければ、釣りをするがいい」という言い伝えが残る地方都市で、釣りをきっかけに、ごく些細な、けれどふんわり温かい「奇跡」が起こる『あたり』(小学館文庫)。下着泥棒と間違えられて逮捕され、職も信用も失った青年が、無実を訴えるブログを立ち上げたことから意外な運命が開ける『俺は駄目じゃない』(双葉社)
 右はほんの一例だけども、どれにも共通するのは、ほんのちょっとしたきっかけで、主人公たちが少しだけ自分を好きになれる、という展開。勿論、そんなに上手くいく訳無いじゃん、というツッコミはあり得ると思う。けど僕は、そんなに上手くいく訳無いかも知れないけど、こんなことがあったらいいな、と思う。そして読後はいつも、読む前よりも確実に何割かは気分が明るくなっている。そういった意味で、山本甲士さんの作品は、大人の為のファンタジーである、とも言えるんじゃないかと、そんな勧め方をしてみたい。

 さて、前置きが長くなったけど『ひろいもの』。
 実は類似の展開に『かみがかり』(小学館文庫)という作品があって、こちらは床屋さんで寝ている間に変な髪型にされちゃった人たちが、髪型に影響されて自分の弱点を克服してしまうという話だったんだけど、『ひろいもの』に登場するのは、タイトル通り、ひょんな事からひょんな拾い物をした五人の男女。その拾い物を持ち主に返すまでの過程で訪れる、意外な出逢いと発見と、小さな小さな自己変革。

 コミュニケーションが苦手で仕事が長続きしない青年は、セカンドバッグを拾って、持ち主を探す。売れない女優はスポーツ用のサングラスを拾って、気まぐれにジョギングを始める。喧嘩っ早くてどこに勤めてもトラブル続きのおっさんは、なんと警察手帳を拾ってしまう! 引きこもりだった青年は、ゴミ捨て場でハンドグリップを拾ったことで、部屋で黙々と筋トレを開始する。そして、恋人と死別した女性は、思い出の場所で時計を拾い、そのことに恋人の「見えない意志」を感じ取ろうとする。

 どこにでもいそうな――即ち僕らとソックリな――平凡で月並みで欠点だらけの一般庶民。そんな彼らが些細なきっかけで少しだけ変わる。そこに自分を重ねて勇気づけられるのは、けっして僕だけではない筈だ。(沢田史郎)



『神の棘』須賀しのぶ 早川書房 一巻9784152090546 二巻9784152091512 各¥1,700+税
 1935年、ドイツ。若く優秀な保安情報部員アルベルトは、党規に従い神を棄てた。そして上官のハイドリヒから、ヒトラー政権に反発する国内カトリック教会の摘発を命じられる。一方、アルベルトの幼馴染マティアスは、大恐慌で家族を失くし、修道士として静かに生活していた。道を分かたれたはずの二人が再び出会ったとき、友情と裏切りに満ちた相克のドラマが幕を開ける。全二巻の歴史ロマン大作!(早川書房HPより)

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 戦争は嫌だ。そんな当り前の言葉しか、まずは浮かんで来なかった。『神の棘』は、先月絶賛した『革命前夜』(文藝春秋)の須賀しのぶさんが、2010年に発表した大作だ。

 時代は、1930年代、ナチスが台頭して軍靴の音が日に日に高まってゆくドイツ。ひ弱でいじめられっ子だったアルベルトは、ナチスに所属してカトリック弾圧の手先となる。そのアルベルトを小突き回していたガキ大将のマティアスは、第一次大戦後の混乱で家族を亡くし、修道士となって神に仕える道を選ぶ。
 そんな二人が、やがて始まった第二次大戦の動乱の中で、冷酷無比なナチスの一員と、ナチスの暴虐に憤る修道士という立場で再会する……。

 といったところまでが第一幕なんだが、その後に展開するドラマの過酷さと非情さは、本気で言葉を失うレベル。そして思うのは、戦争のむごさと無駄さと馬鹿らしさ。

 例えば、残虐非道な任務を冷徹に遂行してゆくアルベルトにだって、大切な記憶や守りたい人はいる訳で、そんなごく普通の青年である筈の彼を、悪魔の所業に駆り立てたもの――それが戦争。

 中盤で、アルベルトが保安情報部としてどんな仕事をしているのかを、妻に言い淀む場面があるのだけれど、それは取りも直さず、自分が大切にしている人が自分の所業で喜んでくれるとは、彼自身も思っていないという証。そういう普通の良心は、持っているんだ彼だって。それでも、やらざるを得ない。家族を騙し、恐らくは自分自身をも偽りながら、そしてそれが、大切な人を守る術だと信じて、人道も道徳も踏みにじる……。その気持ちが解るとは言わないけれど、少なくともシンドかったろうなという想像はつくから、多分これから読む皆さんもそうだと思うけど、アルベルトのことをどうしても憎めない。

『革命前夜』のヒール役・ヴェンツェルなんかもそうだったけど、須賀さんが生み出すキャラクターってのは人間的で、嫌なところや憎たらしい部分ってのをしっかりと持っているのに、決して嫌いになり切れない。ってかむしろ、アルベルトなんか損得顧みずに筋を通す潔さも持っているし、違う時代に違う立場で生活していたら絶対にいい奴だった筈で、彼に感情移入する読者はさぞ多かろう。かく言う僕も、終盤はどうにかしてアルベルトに幸せを――ほんの僅かでもいいから――味わって欲しくて、祈るような気持ちで読み進めた。それだけに、彼に、そしてマティアスに、更には本書に登場する沢山の善良な市民たちに、ここまで残酷な運命を強いたヒトラーが、この世に生まれてきたことが悔しくて仕方が無い。知ってはいたけどヒトラーって、悪魔の生まれ変わりみたいな野郎だな。

 そうそうこの作品、僕が購入したのは早川書房の単行本だけど、6月下旬に新潮社から文庫化されます。しかも大幅改稿らしいんで、これから読もうという人は、もう少し待って文庫を買った方がお得かも。

 最後に一つ、是非とも紹介したい言葉がある。放浪の画家・山下清さんが、長岡の花火大会を描いた際に(或いは花火大会を観覧した時なのかも知れないけど)、漏らしたという一言です2014年7月28日の『毎日新聞』を参照しましたが、様々な文献やネットで多数紹介されています。そして因みに、長岡の花火大会そのものも、昭和20年の長岡空襲の犠牲者を悼んで開催されたということです)。曰く

「みんなが爆弾なんかつくらないできれいな花火ばかりをつくっていたら、きっと戦争なんか起きなかったんだな」

異議なし、としたい。(沢田史郎)



(*`▽´*) (∩.∩) ┐(´ー)┌ (*´∀`) (*`▽´*) (∩.∩) ┐(´ー)┌ (*´∀`) 

以下、出版情報は『読書日和 06月号』製作時のもです。タイトル、価格、発売日など変更になっているかも知れませんので、ご注意ください。


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編集後記
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連載四コマ「本屋日和」
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by dokusho-biyori | 2015-06-01 21:59 | バックナンバー | Comments(0)