読書日和

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「読書日和」備忘録

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カテゴリ:サワダのひとりごと( 106 )

再出発

只今、フェア準備中。
順調にいけば今日(12/14)の夕方には店頭展開できるかな??

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by dokusho-biyori | 2015-12-14 10:21 | サワダのひとりごと | Comments(0)

遠くを見る

しつこいようだけど中山智幸さんの『暗号のポラリス』


僕の中では、一生手元に置いておきたい本の一つであるにもかかわらず、世間での扱いがどうにも地味なので、声を大にして何度でも言っておきたい。この作品は、不器用でも一生懸命生きている人たちへの励ましに充ちている。挫けようとする自分自身と日々闘っている、大勢の人々への声援が溢れている。

主人公のユノ少年は難読症という学習障害の一種を抱えていて、文字が読めない。
彼は、人が当り前に出来ることでも容易にはこなせない自分を、馬鹿だと信じている。
ハリウッドスターにも難読症の人はいるといった励ましも、逆に
「ハリウッドスターにでもならないことにはあなたは無価値だ」と受け取ってしまう。

そんなユノ少年が、その夏、たった一人で知らない土地に飛び出してゆき、
幾つかの出会いと困難を重ねた末に、亡き母の言葉を思い出す。
「近くばかりを気にするから怖くなるの。遠くを見なさい」
そして気がつく。

自分は今まで、難読症という「近く」ばかりを見てきたのではないか、と。
難読症など、これから先の人生で襲ってくるであろう厄介事の
最初の一つに過ぎないのだ、と。
一歩下がってこれから歩んで行く道の先を見渡せば
凸凹も石ころも水たまりも無数に在って、
難読症はそれらのどれか一つに過ぎないのだ、と。
ならば、

難読症など、自分を否定する理由にはならないのだ、と。

ここで、物語の世界から現実の生活に視線を移す。
今、抱えている辛いこと。明日、予想される憂鬱なこと。
そこに近づき過ぎるから怖くなるし、逃げたくなる。
今日明日の厄介事だけを見ているから実際以上に大きく感じる。
そんな時はユノに倣って遠くを見てみる。
するとほら。

今日明日の厄介事など、これから乗り越えなければならない障害の
千分の一、万分の一でしかないことに気がつきません?
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by dokusho-biyori | 2015-12-11 15:47 | サワダのひとりごと | Comments(0)

つまづく話

唐突な話題ではありますが、『ドラえもん』に「45年後……」という短編があります(てんとう虫コミックス『ドラえもんプラス5巻』)。

読んで字の如く、45年後ののび太が子ども時代を懐かしんで、現在ののび太のところにタイムマシンでやって来る話です。で、いつもの通りすったもんだの一日が過ぎて、オッサンのび太が未来に帰っていく場面。久し振りに童心に返って遊びまくったオッサンのび太が、お礼に宿題でも手伝おうかと申し出ると、コドモのび太は自分でやるからいいと、断ります。オッサンはすかさず「さすがはぼくだ!」と妙な誉め方をした後にこう続けます。

「一つだけ教えておこう。きみはこれからも何度もつまづく。でも、そのたびに立ち直る強さも、もってるんだよ」

未来の自分に言われるんだから、これほど確かな事は無い。そこでだ。僕らも、過去の自分に向かってならば、「そのたびに立ち直る強さも、もってるんだよ」と言い切れる訳で、だとすると、未来の僕らもきっと、今現在の僕らに向かって同じセリフを言えるんじゃないかなぁ……などと想像をふくらませたくなる訳です。

なぜこんなことを言い出したかと言うと、中山智幸さんの『暗号のポラリス』が素晴らし過ぎて3回、4回と通読を繰り返してる内に、ふとドラえもんの上記の話を思い出したのです。『暗号のポラリス』も、つまづきまくった小学生が懸命に起き上がり、再び歩き出す物語です。「散々迷っていたけれど、遂に北極星を見つけたよ」とでも言いたげなラストシーンでは、主人公のユノ少年に精一杯のスタンディングオベーションを贈らずにはいられません。

多分この小説は、これからも何度も何度も読み返す作品になると思う。

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by dokusho-biyori | 2015-12-09 22:16 | サワダのひとりごと | Comments(0)
今日は月並みですがクリスマスの本を数冊。いつもの如く順不同でご紹介。

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名取佐和子『シェアハウスかざみどり』(幻冬舎)
 タイトル通り、シェアハウスに集まった5人(住人4人+管理人)のコメディ&人情譚。どことなく、時代小説の長屋ものを連想させるような、切な温かい連作短編。銀杏の木のクリスマスツリーってのも見てみたい。


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又井健太『新小岩パラダイス』(ハルキ文庫)
 身ぐるみはがれて無一文になった主人公が辿り着いたのは、新小岩に在るこれまたシェアハウス。「二杯目以降は発泡酒。酔ったら酒は皆一緒」なんて言いながら酒盛りするメンバーがちょー愉快。幸せって意外と身近にあるのかも!? そんな気にさせてくれます。


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稲見一良『セント・メリーのリボン』(光文社文庫)
 著者名はイナミ・イツラさんと読みます。「男の贈りもの」をテーマに編まれた5つの短編の、表題作がむちゃくちゃ珠玉! いなくなった盲導犬を捜す話です。ラストシーン、クリスマスのイルミネーションが輝く街に遠ざかっていく主人公たちが目に見えるよう。


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亀岡亜希子『ねんにいちどのおきゃくさま』(文渓堂)
 イタチではなく、オコジョ。名前はタッチィ。クリスマスには年に一度のお客様がやってきます。その準備の為に孤軍奮闘、東奔西走するタッチィがとにかく可愛く、ひたすらけなげ。お子さんと一緒に是非!


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道尾秀介『ノエル』(新潮文庫)
 これは、本当は予備知識無しで読むのが一番だと思う。同窓会に出席する為に帰郷した童話作家、もうすぐ妹が生まれてお姉さんになる小さな女の子、子どもに恵まれずに寂しい老後を過ごしているおじいさん。そして、赤い鼻を天使に馬鹿にされていじけているトナカイ!? 彼らに訪れる優しい奇跡に、どうかビックリして下さい!


そんな訳で、皆さん素敵なクリスマスを!
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by dokusho-biyori | 2015-12-08 22:48 | サワダのひとりごと | Comments(0)

試し読みcoming soon

吉報でござる。
天下の講談社から、試し読みのお許しが出たでござる。しかも、2作品!

彩瀬まるさん『やがて海へと届く』
小野寺史宜さん『近いはずの人』


どちらも来年2月発売予定です。近日中に試し読みUPしますのでお楽しみに。

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因みに。写真は業界向けに小部数で制作された、まさに試し読み。一応、本文は全ページあります。奥付とか「参考資料」みたいなページは省かれてますけど。昔はパイロット版って呼んでましたけど、今はプルーフって言うみたいですね。お客さん向けの試し読みは、このプルーフを元に作ります。まだ校了前なので、発売時には言い回しが変わってたり、極端な場合には、結末が変わってたりもします。

そういうことを念頭に置いて、あくまでも試食のつもりでお楽しみ頂ければ、と。

そして。いつも試し読みのネタをくれて、未完成の作品を人目に晒すことを許可してくれる版元さん。本っ当にありがとーございます!! 僕らが拙い感想文載せたりしてる『読書日和』は、僕らの努力だけで幾らでも発行できますが、試し読みは、版元さんのご理解とご協力があってこそ。これからも、何卒よろしくお願い致します。

ってこんなとこにこんなこと書いて、果たして版元さんの目にとまるんでしょうかね(笑)。
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by dokusho-biyori | 2015-12-08 00:28 | サワダのひとりごと | Comments(0)

ようこそ!

ちとね、ガラにもなく、命について考えさせられる本を。

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藤岡陽子『闇から届く命』



看護師として数々の誕生と死を見届ける美歩を主人公にした物語。

美歩には、脳性小児まひで生まれてきた、美生という姉がおりまして、一人で歩くことはおろか、家族以外とは意思の疎通もままならない重い症状のまま、数年前、二十代半ばで生涯を閉じました。そんな姉を持つ美歩が仕事で迷い悩んだ末に、自分の母親に相談する場面があります。

健康に生まれて来られないならば、その子は生まれてこない方が幸せなのか?

この難問に、小児まひの子を産み、育て、亡くした一人の母親として、美歩の母親は朗らかに言い切ります。

「美生ならもう一度生まれてきてほしいな。病気だとわかっていたとしても、美生と家族になれるのならお母さんは産むと思う」

同じ難問に、高野和明『K・Nの悲劇』に登場する一人の医師は、逆にこう問い返します。

「そもそも不幸な人間は、生まれてこなかったほうが良かったんでしょうか。この世に、生まれてくるべきではなかった人なんているんでしょうか。誰かをつかまえて、お前は生まれてこなかったほうが良かったなどと、他人が言えるんですか?」
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奥山佳恵さんの『生きてるだけで100点満点!』もね、読んでみたいと思ってるんですが、なかなか追いつけず。
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by dokusho-biyori | 2015-12-03 22:21 | サワダのひとりごと | Comments(0)

寒い本

さて、12月だ。年末だ。師走だ。いよいよ本格的に寒くなってきましたな。朝、布団から出るのが辛いこと辛いこと。『ドラえもん』で、「あったかい布団でぐっすりねる! こんな楽しいことがあるか!?」というのび太のセリフがあるんですが、まさに名言だと思います。

でまぁ今回は、読んでるだけで寒くなる本でも紹介しようかな、と。例によって、その時の気分で順位は変わるので、順不同で。

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『アグルーカの行方』角幡唯介

北極探検華やかなりし19世紀、隊員129人が全滅した「フランクリン隊」。その軌跡を角幡唯介さんが辿った冒険記。デカい橇にテントやら食料やらを満載して、それを引っ張って歩いて北極を横断するという、途方もない旅の記録。連日マイナス30℃とか40℃とかいう極寒の描写は読んでるだけで凍傷になりそう。それだけに、冬に閉じ込められたフランクリン隊が夏を待たずに出発してしまった理由を、「春が来た、というただそれだけではないか」と推理する場面は説得力抜群。


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『八甲田山死の彷徨』新田次郎

日露戦争を見据えた研究(?)のため、地元の人間でも足を踏み入れないような真冬の八甲田山を舞台に実施された行軍演習。二百数十キロの距離を10泊で歩き抜くという行程に、30名弱の少数精鋭で臨んだ弘前歩兵第三十一連隊は全員生還。対する青森歩兵第五連隊は、210名中199人が死亡という惨劇に終わった……。指揮系統の混乱云々で、しばしば経営の指南書にも挙げられますが、それより何より、吹雪の中で凍傷と睡魔と闘いながらさまよい続ける描写が圧巻。脱稿後、地元の温泉で疲れを癒していた新田氏が、行軍で命を落とした兵たちの亡霊を見た、というあとがきも必読。


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『包囲』ヘレン・ダンモア/小泉博一[訳]

第二次大戦中、ドイツ軍によって900日弱の間包囲され続けたレニングラード(現サンクトペテルブルク)。日本式に言えば「兵糧攻め」って事なんでしょうけど、滞ったのは兵糧だけでなく、衣料も医薬品も、そして何より燃料の供給がストップしたことが、街を地獄に変えます。何しろ、北緯60度ですからね。北極圏の一歩手前です。そんな場所で燃料なしでどうやって冬を越せと言うのか。しかも、配給制の食料は一人一日パン1枚程度。凍え死んだ人の肉が「何かの肉」として半ば公然と取引されていたりとか、もう絶句するしかありません。本書は小説ですが、きっと似たような事実は沢山あったんだろうな、と。平和な時代に生まれたことを神に感謝したくなります。



とまぁ、こんな感じですが、休みの日の昼下がりにぽかぽかとした陽だまりの縁側とか、風の音が鳴る寒い夜にコタツに潜り込みながらとか、そういう読み方がおすすめです。
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by dokusho-biyori | 2015-12-01 09:40 | サワダのひとりごと | Comments(0)

入れ食い

また、傑作に出逢ってしまったでござる。ここんとこ、入れ食い状態だ。こないだ絶賛した
『ペンギンのバタフライ』の中山智幸さんの最新刊。
『暗号のポラリス』
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『ペンギン』が、ワクワクとビックリ! で読ませるエンターテインメントだとしたら、『ポラリス』は人物の意識の奥に沈んでいる感情を、なだらかな起伏の文章でじわ~っと浮き上がらせるヒューマンな作品。

泣けたかって? あー泣いたさ電車の中で。悪いか。

あの感動をもう一度! ってことで、もっかい読みなおそう。
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by dokusho-biyori | 2015-11-26 23:33 | サワダのひとりごと | Comments(0)

無題

なんか書こうと思ったけど、何も思い付かないから寝る。
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by dokusho-biyori | 2015-11-25 21:58 | サワダのひとりごと | Comments(0)

削除ボーイズ

さて、ここんところ、立て続けに「時間もの」の傑作に当たっている訳ですが。この機会に、もう一つ、今ではかなり忘れられてしまっているであろう「時間もの」の大興奮本をご紹介致しましょう。著者の名前は「カタバミ タイシ」と読むようです。

方波見大志『削除ボーイズ0326』
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主人公の少年たちが手に入れたのは、「過去の任意の時間を削除出来る」装置。どういうことかっつーと、例えば、あなたが転んで膝をすりむいているとします。削除装置を使ってその「転んだ時間」を削除すると、【転んでいなかった】ことになる。当然、膝の怪我も消えてしまう。

まるでドラえもんですが、過去に戻ってやり直すのではなく、過去の時間を削除するというアイデアが面白いと思いませんか?

誰だってあるでしょう? あの時のアレが無ければ今頃は……みたいな、取り返しのつかない過去が。そして主人公たちは、当然、そういった消したい過去を次々と消していきます。ところが、次第に現実のつじつまが合わなくなってきて、むしろ、元の方がまだマシだったんじゃね? みたいなことになって……。

少年たちの友情と心の成長の物語を、時間SFと冒険小説ではさんだサンドイッチみたいな小説です。

暫く前から文庫が品切れ重版未定になって諦めていたら、単行本はどうやらまだ在庫があるみたい。自分の本もいつの間にやら行方知れずになっているので、買い直しの分も含めて発注してみたけど、さぁ果たして入荷しますかどうか。
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by dokusho-biyori | 2015-11-24 09:04 | サワダのひとりごと | Comments(0)