カテゴリ:残 る 言 葉 沁 み る セ リ フ( 1 )


残る言葉、沁みるセリフ2017

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《 人工物には完全がありますが、生物に完全はありません 》

 奥田亜希子の作品はいつも、人間の不完全さを肯定してくれる。それは、欠点も短所も放っておけという意味ではなく、パーフェクトな人間など存在し得ない以上、不完全であることが、或いは不完全である度合いが、その人の存在価値を左右する要素ではないと、そう言っているように僕には思える。



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《 だって、誰も引き取りに行かなかったら、こいつはピンチだったんですよ、大ピンチですよ。ピンチは救うためにあるんでしょうに 》

 飼い主が見つからず、保健センターで処分される寸前だった犬を、後先考えずに引き取った西嶋くん。その友人が「処分される野良犬を見かける度に引き取ってたらキリ無いぜ」的な事を言う。まぁ、それはそうだろう。だけど西嶋くんは、上記の如く、毅然と言い返す。
 目の前で困ってる者があるなら助ける。大事なのは、キリがあるかどうか、ではないんだな。



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《 世界平和とか人類共通の愛とかは、ジョン・レノンみたいな人たちに任せておけばいい。俺は家族とか友達とかお客さんとか、たまたまなついた野良猫とか、目の前のもんのために尽くしたいし、それが精一杯だ 》

 それで充分なんじゃなかろうか。ってか、いつも、いつまでも、それをやり続けられる人は、歴史には残らないけど英雄だと思う。



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《 義理も縁もない他人に何かを頼むとき、『協力してくれるべき』とか『してくれるだろう』とか甘い見通し持ってる奴は絶対失敗するわ。協力って期待するものでも要求するものでもなくて、巧く引き出すものなのよ 》

《 甘い見通し 》って言うか、自分だけの価値観に基づいた〈 正しさ 〉なんだよな、「~べき」っていうのは。それぞれの立場によってそれぞれの「~べき」があって当然だし、それぞれの〈 正しさ 〉もある筈なんだが、テンパってる時はそれが見えずに、己の「~べき」だけをつい主張したくなるんだけど、それじゃあ上手くいく訳ゃないよな。



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《 無理だ、とは言わない人たちが、科学の歴史を作ってきたんだよ 》

 世界的規模の陰謀が進行する傍らで、そうとは知らずに、薬学を専攻する主人公が人類の未来を握る新薬の開発に邁進する。その研究を諦めかけた時に、相棒が静かに主人公に告げる名セリフ。「科学」の部分は、色んな言葉に置き換えられるような気がします。



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《 ごきげんよう。なによりも、快活でいらっしゃるように。人生をあまりむずかしく考えてはいけません。おそらくほんとうはもっとずっと簡単なものなのでしょうから 》

 元々は、ロシアの文豪・チェーホフが恋人だか友人だかに宛てた手紙の一節。主人公の憲太郎が、人生に迷った時、生きることに疲れた時、日々の暮らしに嫌気がさした時などに、自分に向かって呟く言葉。『草原の椅子』は、登場人物たちが、進路を塞ぐ障害物を一つずつ取りのけながらゆっくりと歩んでゆく小説。







































































































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by dokusho-biyori | 2017-11-08 06:24 | 残 る 言 葉 沁 み る セ リ フ | Comments(0)