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2016年の再出発(リスタート)

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 読後、「再出発」を感じさせる本を集めてみました。仕事で、家族で、スポーツで、恋愛や友人関係で、etc……自ら望んだ再出発から、状況に強いられた不本意な再出発まで、生きている間には、僕らは様々な再出発を繰り返します。2016年が皆さんにとって、素敵な再出発の年になりますように。

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『あの日、マーラーが』藤谷治
『阿弥陀堂だより』南木佳士

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『アル中ワンダーランド』まんしゅうきつこ
『行きずりの街』志水辰夫
 このミス1位の傑作ハードボイルド調ミステリーなんですけど、それ以上に、大人の恋愛小説として読後の余韻が半端じゃない。仲村トオルさん&小西真奈美さんの映画も、物凄くいい出来栄えでした。
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『永遠の1/2』佐藤正午
「失業したとたんにツキがまわってきた」っていう書き出しがいい。あと、タイトルが何かのキャッチコピーのようにお洒落だと思う。初めて読んだ高校生の頃、チャランポランな大人に憧れた。
『おまめごとの島』中澤日菜子
 人間の不完全さを肯定してくれているようで、ホッとさせてくれます。とある人物がふと漏らす述懐――「きっと人生には、他人にはどんなに愚かで滑稽に映ろうとも『そうするしかなかった』瞬間が、幾つもあるに違いない。そんな瞬間しゅんかんの積み重なりが、「生」をかたちづくっているのかも、しれない」――本当にその通りだと思う。

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『還るべき場所』笹本稜平
『かかし長屋』半村良
 正確な記憶じゃないけど、多分、生まれて初めて読んだ時代小説。単行本が発売されてすぐだったから、22歳だったのかなぁ。相身互いと肩を寄せ合いながら困難を乗り越えてゆく、貧乏人たちの優しさが清々しい。「夕立に 取り込んでやる 隣の子」という川柳を思い出します。

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『かみがかり』山本甲士
 髪型を変えて気分転換……どころか、人生まで転換してしまう話。本書がお気に召したら、拾いもので人生が拓ける『ひろいもの』も是非どうぞ。
『カラスの親指』道尾秀介
 いっそ死んだ方がマシ……そう考えてしまうぐらい辛い過去を背負った主人公たちの一発逆転に魂消るがいいさ!

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『ゲームセットにはまだ早い』須賀しのぶ
 本書で思い出すのは、イチロー選手のインタビュー(『イチロー、聖地へ』)。曰く「かつて、自分に与えられた最大の才能は何だと思うか、とイチローに聞いたことがある。彼は『たとえ4打席ノーヒットでも、5打席目が回ってきて欲しいと思える気持ちかな』と言った」。――プライドも世間体も封印して、傷だらけの夢に往生際悪く挑み続ける主人公たちがカッコイイ。自他ともに認める野球狂の須賀さんだから、プレーの描写は臨場感抜群です。
『今夜、すべてのバーで』中島らも
 とにかく何しろ、禁断症状の描写がエグい。アル中にだけはなるまいと、固く心に誓った本。

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『最後のスコアブック』平山譲
 今、スポーツノンフィクションのジャンルで一番切れ味鋭い作家だと思う。第一線を引いた野球人たちが、次なる目標に邁進してゆく姿がまぶし過ぎる。障害者野球を追った『4アウト』も大傑作なんだけど絶版。どこか、文庫化してくれい!!
『さぶ』山本周五郎
 山周作品には名台詞が多いんですが、本書からはこれをご紹介しましょう。「世の中には生まれつき一流になるような能を備えた者がたくさんいるよ、けれどもねえ、そういう生まれつきの能を持っている人間でも、自分ひとりだけじゃあなんにもできやしない、能のある一人の人間が、その能を生かすためには、能のない幾十人という人間が、眼に見えない力をかしているんだよ」

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『しょっぱい夕陽』神田茜
 僕たちは、人生の充実度を比べ合う為に生きている訳ではないんじゃね? 不器用な生き方しか出来ない登場人物たちに、そう教えられたような読後感。
『新小岩パラダイス』又井健太
「二杯目以降は発泡酒。酔ったら酒は皆一緒」を、座右の銘にしております。

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『新橋烏森口青春篇』椎名誠
「飲んだら吐くな、吐くなら飲むな」も座右の銘です。
『晴天の迷いクジラ』窪美澄
 不格好でもみっともなくても、「生きている」というただそれだけでいいんだよ、というメッセージが熱い。

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『草原の椅子』宮本輝
 宮本輝さんの作品でいちばん好きかも。写真家志望の青年が撮りためた写真のテーマがとてもいい。「楽しいもの、幸福を感じるもの、気持ちのいいもの、荘厳なもの、笑いがあるもの、それらを中心として人間の心について考えてしまうもの」。多分これ、宮本さんの全ての小説に通じるテーマでもあるような気がします。
『小さき者へ』重松清

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『凸凹デイズ』山本幸久
『泣いて笑ってまた泣いた』倉科透恵
 決して巧い文章ではないんですけど、それだけに著者の気持ちがストレートに伝わってきて応援したくなります。人と比べない生き方に、共感度大。

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『8年』堂場瞬一
『ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅』レイチェル・ジョイス/亀井よし子[訳]

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『ひまわりの祝祭』藤原伊織
『ひりつく夜の音』小野寺史宜
 この歳で今更テクニックは伸びないと投げやりになる主人公に、古い友人が言うセリフ。「伸びなくても、ふくらむことはできるんじゃない?」に励まされる中年男女は多かろう。

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『深い河(ディープ・リバー)』遠藤周作
『ふたつの星とタイムマシン』畑野智美
 人生は、思うに任せないからこそ生きるに値する。そんなメッセージを感じます。

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『フライ,ダディ,フライ』金城一紀
『ふるさと銀河線』高田郁
 明日は挫けてしまうかもしれない。でも、今日は頑張れた。そうやってシャクトリ虫の如く生を重ねてゆく人々の、地道な奮闘に勇気づけられます。

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『閉鎖病棟』帚木蓬生
『ペンギンのバタフライ』中山智幸
 ペンギンキャラのキャッチコピー「飛べなくても、飛びこむことならできる」は名台詞。二転三転のストーリーがスピーディに展開して一気読み必至。

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『女神のタクト』塩田武士
『メメント・モリ』原田宗典
 あの原田さんが帰って来た! それだけでもう、このフェアのテーマにピッタリだ。作家としての大スランプと鬱と薬物と逮捕投獄というまっさかさま人生から、満身創痍で帰還したほぼ自伝。おかえりなさい!

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『約束の森』沢木冬吾
 シェパードのマクナイトと、ハスキーのダイナマイトと、オウムのドンちゃんが大活躍する、ハードボイルド調ミステリー兼友情小説兼家族小説。笑いもスリルも涙もてんこ盛りで、これぞエンターテインメントのお手本!
『よろずや平四郎活人剣』藤沢周平
 藤沢周平さんのユーモア調作品では、これが一番楽しくて明るくて好きです。なんだかんだ言っても、腐れ縁で助け合う三人の剣豪が、微笑ましいやら恰好イイやら。
by dokusho-biyori | 2015-12-15 10:22 | 過去のフェア