読書日和

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「読書日和」備忘録

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寒い本

さて、12月だ。年末だ。師走だ。いよいよ本格的に寒くなってきましたな。朝、布団から出るのが辛いこと辛いこと。『ドラえもん』で、「あったかい布団でぐっすりねる! こんな楽しいことがあるか!?」というのび太のセリフがあるんですが、まさに名言だと思います。

でまぁ今回は、読んでるだけで寒くなる本でも紹介しようかな、と。例によって、その時の気分で順位は変わるので、順不同で。

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『アグルーカの行方』角幡唯介

北極探検華やかなりし19世紀、隊員129人が全滅した「フランクリン隊」。その軌跡を角幡唯介さんが辿った冒険記。デカい橇にテントやら食料やらを満載して、それを引っ張って歩いて北極を横断するという、途方もない旅の記録。連日マイナス30℃とか40℃とかいう極寒の描写は読んでるだけで凍傷になりそう。それだけに、冬に閉じ込められたフランクリン隊が夏を待たずに出発してしまった理由を、「春が来た、というただそれだけではないか」と推理する場面は説得力抜群。


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『八甲田山死の彷徨』新田次郎

日露戦争を見据えた研究(?)のため、地元の人間でも足を踏み入れないような真冬の八甲田山を舞台に実施された行軍演習。二百数十キロの距離を10泊で歩き抜くという行程に、30名弱の少数精鋭で臨んだ弘前歩兵第三十一連隊は全員生還。対する青森歩兵第五連隊は、210名中199人が死亡という惨劇に終わった……。指揮系統の混乱云々で、しばしば経営の指南書にも挙げられますが、それより何より、吹雪の中で凍傷と睡魔と闘いながらさまよい続ける描写が圧巻。脱稿後、地元の温泉で疲れを癒していた新田氏が、行軍で命を落とした兵たちの亡霊を見た、というあとがきも必読。


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『包囲』ヘレン・ダンモア/小泉博一[訳]

第二次大戦中、ドイツ軍によって900日弱の間包囲され続けたレニングラード(現サンクトペテルブルク)。日本式に言えば「兵糧攻め」って事なんでしょうけど、滞ったのは兵糧だけでなく、衣料も医薬品も、そして何より燃料の供給がストップしたことが、街を地獄に変えます。何しろ、北緯60度ですからね。北極圏の一歩手前です。そんな場所で燃料なしでどうやって冬を越せと言うのか。しかも、配給制の食料は一人一日パン1枚程度。凍え死んだ人の肉が「何かの肉」として半ば公然と取引されていたりとか、もう絶句するしかありません。本書は小説ですが、きっと似たような事実は沢山あったんだろうな、と。平和な時代に生まれたことを神に感謝したくなります。



とまぁ、こんな感じですが、休みの日の昼下がりにぽかぽかとした陽だまりの縁側とか、風の音が鳴る寒い夜にコタツに潜り込みながらとか、そういう読み方がおすすめです。
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by dokusho-biyori | 2015-12-01 09:40 | サワダのひとりごと | Comments(0)