読書日和

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「読書日和」備忘録

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怖くない幽霊

さて。4年前に夢中になった『この世の涯てまで、よろしく』を、改題文庫化されたフレドゥン・キアンプール/酒寄進一 訳『幽霊ピアニスト事件』で久し振りに堪能している訳ですが、実は私、何を隠そう(隠してないけど)、時間ものの他に “ 怖くない幽霊もの ” が大好物でありまして、その怖くない幽霊ものをこの機会に選り抜いてみました。
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こういうのは、選考する時の気分によって順位がコロコロ変わるのが常なので「順不同」で参ります。

越谷オサム『ボーナス・トラック』創元推理文庫

轢き逃げで命を奪われた若者の幽霊が、ファストフード店で働く青年の部屋に居候して、轢き逃げ犯を捜す……と言うとミステリーっぽく聞こえますが、どちらかと言えば、恋と友情が弾ける青春小説といった趣で、著者お得意の軽快な会話がてんこ盛り。明日は朝から出かける予定の幽霊君が「起きたときおれの姿が見えなくても、びっくりしないでよ」と言えば、同居人君がすかさず「見えるほうがびっくりするんだよ、あんたの場合」って、そりゃそうだ(笑)。きれいで切ないラストシーンも、見どころです。
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坂口理子『フロイデ!』リンダブックス

落ちこぼれの音楽学校の生徒たちを、戦争で命を落とした同校OBの幽霊が特訓する、という筋書き。隙あらば授業をサボろうとする現代っ子たちに、自由に学べることの幸せを説いたり、好きな女の子に告白できずにいる男子に、「想いは、伝えられる時に伝えないと後悔するぞ」と諭したりする幽霊たちの言動は、戦時下を生きた彼らだからこその説得力。演奏曲目は第九だから、まさにこれからの時期にぴったりかも。
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高野和明『幽霊人命救助隊』文春文庫

自殺した四人の幽霊が、天国入りを許可して貰う為に、浮かばれない霊になって地上に舞い戻り、自殺志願者100人の命を救うために奔走する!? 今まで5回か6回は通読してますが、その度に笑って笑ってその倍ぐらい泣く。そして読後は、与えられた命をしっかりと大切にしようなどと、柄にも無いことを誓いたくなる。「未来が定まっていない以上、すべての絶望は勘違いである」は、文学史上に残る名台詞だと思う。
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梶尾真治『黄泉がえり』新潮文庫

熊本県下で突如、死者が蘇る怪現象が多発!? 行政が蘇り者の対応でてんやわんやする一方、蘇ってきたのは、生者に「もう一度会いたい」と強く願われた者たちだけだということが判り……。幽霊ではなくゾンビと言うべきなのかも知れないけれど、怖くない。ってか、むしろベリースペシャル温かい。だけど長らく「版元品切れ重版未定」。どこの出版社でもいいから、復刊してくれい!
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『ゴースト/ニューヨークの幻』

最後は映画。策略で殺された主人公が幽霊となり、自分を殺した犯人を突き止めようと奔走する。しかしその過程で明らかになったのは、残してきた恋人の危機。声も聞かせられず触れることも出来ない幽霊の身で、恋人を守る術を模索する主人公だが……。最初に観た時、デミ・ムーアの美しさに「世の中にこんなにきれいな人がいるのか!?」と、実にたまげましたね。くそっ、パトリック・スウェイジめ。
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by dokusho-biyori | 2015-11-15 22:40 | サワダのひとりごと | Comments(0)