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須賀しのぶ三昧

まぁそんな訳で、
須賀しのぶさん『雲は湧き、光あふれて』(集英社オレンジ文庫)が期待にたがわず面白かった為に、勢いと気まぐれで、高校野球フェアなんぞを開催してしまった訳ですが。
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そのまた更に勢いで、『ゲームセットにはまだ早い』(幻冬舎)も一気に読了してしまったでござる。


いやぁ、須賀さん、野球大好きだね(笑)! それが行間からビシバシ伝わって来る。例えば次は、主人公が練習試合で久し振りにホームランを打った直後の描写。ちょっと長いけど引いてみます。


 スタンドからの歓声。コーチャー、そして味方ベンチの喜ぶ様。この瞬間、打者は球場の、いや世界の中心にいる。
 ホームランは魔法だ。野球というスポーツの、最大の魔法。
 緊迫した場面のタイムリーヒットも、それは素晴らしいものだ。投手の熱投も、神がかった守備も、宝石のように美しい。その中でも、ホームランはとびっきりの特別だ。たった一振り、たった数秒で、空気を全て塗り替えてしまう。
 ゆっくり高く舞い上がるもの、弾丸のようにスタンドに飛んでいくもの。ホームランにはいろいろあるが、共通しているのは、それはバットから離れた瞬間に、ボールであってボールでないものになるということだ。
 息詰まる接戦だろうが、楽勝試合だろうが、大差で負けていようが、ホームランは誰もが目を奪われる。魔法にかかる。長い試合時間の中で、その一瞬だけは止まり、切り取られる。どんなに重い空気も吹き飛ばし、ツキをこちらに引き寄せる。



詳しい感想は、『読書日和』の8月号(7月下旬刊行)に書こうと思うけど、マジ、何か所も何か所も、肌が泡立つような感動を覚えました。例えば映画『フィールド・オブ・ドリームス』とか『マネー・ボール』なんかが好きな人なら、きっと夢中になって読める筈。

それにしても、続きがめっちゃ読みたいんだが、須賀さん、書いてくれんもんかな。
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by dokusho-biyori | 2015-07-19 14:06 | サワダのひとりごと